:::【観戦記事】 『ASIA VINTAGE CHAMPIONSHIP 2018 TRIAL』 第4回戦:宮薗 猛(チームモルティンレイン) vs. 鳥海 貴(日本煙突協会/久喜組)
By Yohei Tomizawa
サイドイベントとして開催されている『ASIA VINTAGE CHAMPIONSHIP 2018 TRIAL』。こちらは8月の18、19日の二日間に渡り開催される『ETERNAL WEEKEND Asia 2018』の不戦勝をかけた戦いだ。
最終第4回戦のフィーチャーマッチは2勝1敗の宮薗 猛と3戦全勝の鳥海 貴。
宮薗 猛は神挑戦者決定戦の常連だ。『第6期及び7期レガシー神挑戦者決定戦』、『同ヴィンテージ神挑戦者決定戦』の計4回でトップ8に残っており、レガシーでは“美しすぎる”「マーフォーク」を、ヴィンテージでは「メンター」と青を基調としたデッキを好んで使用している。19位で終えた『グランプリ・京都2015』でも相棒に選んだのは「マーフォーク」だった。
好成績を残す宮薗であるが、『第7期ヴィンテージ神挑戦者決定戦』では決勝戦においてHareruya Prosの原根 健太に、『グランプリ・京都2015』ではトップ8を決める最終バブルマッチで同じくHareruya Prosの高橋 優太に敗北し、ネクストステージを逃している。今回こそ、最後の1勝をもぎ取ることができるだろうか。
対照的に鳥海 貴は『第11期ヴィンテージ神挑戦者決定戦』を見事勝ち抜き、遂に神飯野 彬への挑戦権を獲得している。一つのトーナメントを勝ち抜き、ネクステージへの切符を手にした姿はまさに昇り龍。
『ASIA VINTAGE CHAMPIONSHIP 2016』本戦出場、『BMO Vol.10 ヴィンテージ』、『第10期ヴィンテージ神挑戦者決定戦』でトップ8に残っている。デッキは「Omni Oath」や「MUD」…いや「日本煙突協会」と様々なアーキタイプを使い分ける。
『ETERNAL WEEKEND Asia 2018』は、もう目の前に迫っている。最終戦を勝ち、自力で優勝を決めるのはどちらのプレイヤーか。
:ゲーム1
マリガン後ということで、宮薗は土地が多めの手札を渋々キープ。《Volcanic Island》を置くだけで終わるが、鳥海は《溢れかえる岸辺/Flooded Strand》から《Volcanic Island》をフェッチし、《定業/Preordain》をプレイ。その手には《Ancestral Recall》が握られており、仕掛け時を探るといったところか。
《沸騰する小湖/Scalding Tarn》を置くと宮薗は《思案/Ponder》で思案し、シャッフルを選択。《Mox Sapphire》を置くと、続くターンには《定業/Preordain》で更に掘り進めるが、エンドに鳥海がキャストしたのは《Ancestral Recall》!宮薗に《精神的つまづき/Mental Misstep》はなく、新鮮な3枚のカードがもたらされる。
鳥海は獲得したハンドアドバンテージを盤面の脅威に変換する。すなわち《Mox Jet》《Mox Emerald》でマナ差を逆転すると、《Demonic Tutor》から導かれた《禁忌の果樹園/Forbidden Orchard》と《ドルイドの誓い/Oath of Druids》を揃えプレイグラウンドへ!
宮薗は自身のターンで《意志の力/Force of Will》をドローすると、《実物提示教育/Show and Tell》をカウンターのバックアップで無理矢理通し、《グリセルブランド/Griselbrand》を着地させ逆転を狙うも、鳥海が出したパーマネントもなんと《グリセルブランド/Griselbrand》。
一先ずペイライフから手札を得るが、求めるカードはないのか更に7枚。残りライフを4としながらも《仕組まれた爆薬/Engineered Explosives》をX=0でキャスト。鳥海もスタックして7枚のカードを引くが、これを許可。《Library of Alexandria》をセットすると大量のディスカードとともにターンが移る。
アップキープに《ドルイドの誓い/Oath of Druids》が誘発し、《引き裂かれし永劫、エムラクール/Emrakul, the Aeons Torn》までも出現。今度は鳥海がカードを切っていく。《ダク・フェイデン/Dack Fayden》で《Mox Sapphire》を奪うと、更にペイライフ。ライフ1ながらMox2枚を追加しながらの《Time Walk》とパワー9の乱れ撃ち。
ここで解決を許せば、《引き裂かれし永劫、エムラクール/Emrakul, the Aeons Torn》により勝負が決してしまう。宮薗は《意志の力/Force of Will》で応じ、《グリセルブランド/Griselbrand》同士が交換される。
《引き裂かれし永劫、エムラクール/Emrakul, the Aeons Torn》を対処しなければ宮薗に未来はない。《ドルイドの誓い/Oath of Druids》にスタックして《仕組まれた爆薬/Engineered Explosives》を起動し、大量のMox共々トークンを一掃するが、鳥海も解決後に《禁忌の果樹園/Forbidden Orchard》で再度トークンを生成し、クリーチャーの着地を許さない。
《Ancestral Recall》へ《精神的つまづき/Mental Misstep》が撃ち込まれ、宮薗は投了の代わりにカードを片付けた。
宮薗 0-1 鳥海
:ゲーム2
悩みながらキープを宣言した鳥海は《Black Lotus》が解決されたのを確認すると、《Mox Pearl》で4マナ目を確保。なんと後手1ターン目に《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》!
着地してしまえば、ゲーム自体を決めかねない。宮薗は《宝船の巡航/Treasure Cruise》をコストに《意志の力/Force of Will》を放つが、鳥海の手札は完璧だった。《実物提示教育/Show and Tell》を切っての《意志の力/Force of Will》でカウンター合戦を制してみせたのだ!
かくて神は降臨し全自動《渦まく知識/Brainstorm》から《溢れかえる岸辺/Flooded Strand》セット。
宮薗は《禁忌の果樹園/Forbidden Orchard》を置き、鳥海の行動を見守るしかない。
《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》の《渦まく知識/Brainstorm》効果とフェッチランドのシナジーで、新鮮なドローを繰り返す。3度目には遂に宮薗のデッキトップへの検閲が入り、《禁忌の果樹園/Forbidden Orchard》がボトムへと送られる。
宮薗は静かに時を待っていた。4枚目の土地として《Library of Alexandria》をセットすると、遂に動く。鳥海に遅れること3ターン、キャスト《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》!
この《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》がカウンターされれば、試合終了となってしまう。鳥海の動向を見つめると、レスポンスで《渦まく知識/Brainstorm》をキャストしながらもスルー。すかさず3枚の手札を加える。
両者《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》着地という異様な光景。しかし鳥海のそれは3度多く能力を起動しており、《禁忌の果樹園/Forbidden Orchard》によりスピリット・トークンも得ている。3枚のカードを引くと、相手の忠誠値を2に下げる。
ここからは宮薗が《渦まく知識/Brainstorm》を使いながら《ヴリンの神童、ジェイス/Jace, Vryn's Prodigy》をブロッカーとして召喚、対して鳥海がバウンスしつつトークンで忠誠値を減らすという動作が繰り返され、宮薗の《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》の忠誠値は1となってしまう。
検閲により忠誠値を上げ《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》を維持することは可能だが、宮薗は潰されることがわかっても真ん中の能力で手札を増やし続け、《Library of Alexandria》の起動までこぎ付ける。
返すターンで遂に《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》はスピリットによって堕ち、再び神を持つのは鳥海のみに。一度検閲により忠誠値は引き上げられていたことが大きいようだ。
しかし宮薗の《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》を潰すため、3ターンに渡りブロッカーたる《ヴリンの神童、ジェイス/Jace, Vryn's Prodigy》をバウンスし続けた結果、手札の差はなくなってしまう。
新たなプレッシャーとして《ドルイドの誓い/Oath of Druids》選択すると、鳥海は《禁忌の果樹園/Forbidden Orchard》をコントロールしており確実に起動は見込める。手札は5枚と若干少ないながらも未だイニシアチブを握っているか。
宮薗は《ダク・フェイデン/Dack Fayden》を唱え、手札をルーティング。そして勝負とばかりに《実物提示教育/Show and Tell》をキャストする。
一体、何だ。《グリセルブランド/Griselbrand》か《引き裂かれし永劫、エムラクール/Emrakul, the Aeons Torn》か、はたまたカウンターを引き出すためのブラフなのか。鳥海は思考の海に沈み、予感めいたものが浮かんでは消える。じっくりと考え、解決を許可する。
じっと耐えた。「く、〇せ。」「九分九厘決まってるのになんで続けてるんだろね。」と笑いながら口にした宮薗本人も、開始当初からいた観戦者の多くも“終わった試合”と位置付けていたかもしれない。
それでも諦めずできることを続け、《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》着地にこぎつけ、鳥海のドローがあまり良くないことも相まって、遂には《実物提示教育/Show and Tell》を通すことにも成功した。さあ、いこう!
カードを伏せるのは、宮薗のみ。表に返すと《全知/Omniscience》と明らかになり、すぐさま《引き裂かれし永劫、エムラクール/Emrakul, the Aeons Torn》をキャスト。これにはポーカーフェイスを貫いていた鳥海も「いかれたなぁ。」と。
エクストラターンに入ると《引き裂かれし永劫、エムラクール/Emrakul, the Aeons Torn》で《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》へアタック。たまらず《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》を滅殺の生贄分に含め、生命線の《ドルイドの誓い/Oath of Druids》を守る。
守った《ドルイドの誓い/Oath of Druids》から《グリセルブランド/Griselbrand》が出たことでペイライフを重ね、手札とマナを増やすと鳥海も《実物提示教育/Show and Tell》キャストする。
宮薗がとっときの《意志の力/Force of Will》を切ると、鳥海も《紅蓮破/Pyroblast》を合わせるが、更にキャストされる《意志の力/Force of Will》!
「無理だね。」
敗北を認め、ゲームカウントはタイに。
宮薗 1-1 鳥海
:ゲーム3
熱戦が続いたためジャッジに確認すると、残り時間はなんと4分。マリガンの鳥海が《Tropical Island》から《定業/Preordain》を唱え、すぐさま2枚を下に送る。
対して宮薗は《Black Lotus》をプレイし、解決すると生贄にささげ白を宣言。
「白?」
鳥海を含め、観戦者の多くに疑問符が浮かぶ。
キャストするのは《先駆ける者、ナヒリ/Nahiri, the Harbinger》。ルーティング能力だけでなく、奥義でクリーチャーに速効を付与しつつ場に出すため、残り時間の限られたこのゲームではフィニッシャーにもなりそうだ。当然許すわけにはいかず鳥海は《精神的つまづき/Mental Misstep》をコストに《意志の力/Force of Will》をキャストするが、宮薗も《ダク・フェイデン/Dack Fayden》を犠牲に同じカードを合わせる。
更に間の悪いことに鳥海の土地は1枚でスットプし、《Black Lotus》を出しながらもルーティングを見守るのみ。
《先駆ける者、ナヒリ/Nahiri, the Harbinger》の強さの一つに奥義への到達の早さがある。僅か2ターンで到達すると、鳥海のアップキープに《禁忌の果樹園/Forbidden Orchard》から《自然の要求/Nature's Claim》で美しい水連を対象にとる。
ここで時間終了を告げる声が聞こえ、鳥海から延長ターンがスタート。《Black Lotus》を割られ、土地も引かずターンを返すしかない。この時点で鳥海が勝利することはほぼ不可能となり、後は宮薗が決められるかどうかといったところか。
一方宮薗も実は土地が2枚でストップしており、ドローを進めるが引かない。トークンの2体目を生み出し《ヴリンの神童、ジェイス/Jace, Vryn's Prodigy》を召喚し、《先駆ける者、ナヒリ/Nahiri, the Harbinger》を守るブロッカーとする。
延長3ターン目に入ると召喚酔いの解けた《ヴリンの神童、ジェイス/Jace, Vryn's Prodigy》を変身させ、奥義で《グリセルブランド/Griselbrand》を着地させると、限界までライフを支払う。
「引かないことを祈るのみだな。」
Moxでマナを確保すると《実物提示教育/Show and Tell》から《全知/Omniscience》。
ゲーム2を思い出し鳥海は、
「エムラ(《引き裂かれし永劫、エムラクール/Emrakul, the Aeons Torn》)いますか?」
と問いかけるが、
「まだないです。」
と答え、宮薗はドロースペルを連打。《Ancestral Recall》、《定業/Preordain》、《時を越えた探索/Dig Through Time》で軽く10枚以上掘り進めるが、目的のカードに巡り合えない。未確認のパイルは約20枚ほどあり、残りのドロースペルの総量的に引けるかどうかギリギリ。
《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》、《ダク・フェイデン/Dack Fayden》のプレインズウォーカーコンビを並べ、最後とばかりに《宝船の巡航/Treasure Cruise》をキャスト。カードを手元に伏せる。
1、2、3。祈るよう確認すると…真実に辿り着いた。
宮薗 2-1 鳥海
厳選なオポ勝負の結果、『ASIA VINTAGE CHAMPIONSHIP 2018 TRIAL』を制したのは、
宮薗 猛!
宮薗 猛、『ASIA VINTAGE CHAMPIONSHIP 2018 TRIAL』優勝おめでとう!
『The Finals 2018 エリア代表決定戦 SUMMER』権利獲得者プロフィール
◆川上 真太朗(群馬)
◆遊んでいるお店やコミュニティー
コミカル堂桐生店 カードショップワンパック
◆今日のデッキ・成績・活躍したカード
「青白コントロール」 5-1-1 《浄化の輝き/Cleansing Nova》
◆本戦への意気込み
オレが最強だ!
◆難波 直也(群馬)
◆遊んでいるお店やコミュニティー
コミかる堂高崎店 Team.ムラシュー
◆今日のデッキ・成績・活躍したカード
「赤黒アグロ」 5-1-1 《木端+微塵/Cut+Ribbons》
◆本戦への意気込み
PT準備含め、スタンダード擦りまくります!
◆中野 達仁(群馬)
◆遊んでいるお店やコミュニティー
コミかる堂高崎店 Booksながしま
◆今日のデッキ・成績・活躍したカード
「ケルドレッド」 5-0-2 《地揺すりのケンラ/Earthshaker Khenra》
◆本戦への意気込み
今の自分を超えるようにがんばります。
◆テヅカ タカトモ
※ テヅカ タカトモさんにつきましては、写真辞退となっております。
◆遊んでいるお店やコミュニティー
◆今日のデッキ・成績・活躍したカード
「赤緑サルカン」 5-2 《サルカンの封印破り/Sarkhan's Unsealing》、《業火のヘリオン/Inferno Hellion》
◆本戦への意気込み
ガンバります!
:::【観戦記事】 シングルエリミネーション第1回戦:棚橋 雅康(ウカツの森/Onogames) vs. 川上 真太朗(コミかる堂桐生店/Team.ムラシュー)
By Yohei Tomizawa
輝くスポットライトの下で、棚橋の姿を最後に見たのはいつだったろうか。プロツアートップ8、2度のグランプリトップ8と素晴らしい戦歴をもつ彼は、いつの間にかトーナメントの荒波に飲み込まれていた。
いや、筆者が知らない棚橋の姿はグランプリ会場にはあったのかもしれない。それでも『グランプリ・シドニー2010』を最後にトップ8からは遠ざかり、初日全勝を果たした『グランプリ・静岡2014』でも、トップ8プレイヤーの中に彼の名前を見つけることはできなかった。
そこから3年。腐らず、止まらず、諦めず。地道にPPTQを回り、各種大会に参加を続け、そして。
棚橋は『グランプリ・静岡2017春』で見事トップ8入賞を果たし、再び自身の存在を強くアピールしたのだ!
その後は長野・新潟のプレイヤーで構成された“Onogames”と呼ばれる競技志向の強い集団を立ち上げる。『BMO Vol.10 Sunday Modern』や『日本モダン選手権2018・夏』で立て続けに準優勝と結果を残し、自他共に認める“Onogames”のモダン担当となっている。
棚橋の上衣はいつも通りの黒色のTシャツ。胸部分に“Onogames”のロゴが刻印された勝負服だ。
『The Finals 2018』の出場権をかけ、最後の戦いが始まる。
:ゲーム1
先手の棚橋はマリガンから土地が2枚で止まってしまう不運に見舞われ、キャントリップを駆使するが中々マナが伸びてくれない。対照的に川上は《天才の片鱗/Glimmer of Genius》で手札、マナともにリードする。
なんとか4マナ目に辿り着くと、棚橋はキーカードである《鼓舞する彫像/Inspiring Statuary》をキャスト。川上は小考後スルーし、《排斥/Cast Out》で対処しようとするが、間髪入れずに《金属の叱責/Metallic Rebuke》でカウンター。
キーカードは守った。その代償としてタップアウトとなり、偉大なプレインズウォーカーの登場を許してしまう。《ドミナリアの英雄、テフェリー/Teferi, Hero of Dominaria》である。
このカードがある限り、追加ドローとパーマネント対処が約束される。川上は《ドミナリアの英雄、テフェリー/Teferi, Hero of Dominaria》を守りつつ、棚橋のキーカードをカウンターするだけでいいのだ。
棚橋のデッキに直接プレインズウォーカーを破壊できるカードはない。《金属紡績工の組細工/Metalspinner's Puzzleknot》、《改革派の地図/Renegade Map》とデッキを掘り進め、コンボパーツをかき集める。
しかし《ドミナリアの英雄、テフェリー/Teferi, Hero of Dominaria》が着地した時点でゲームは終了となってしまったようだ。余剰ドローにより毎ターン確実にセットランドを続き、《金属の叱責/Metallic Rebuke》をケアできる9マナで《奔流の機械巨人/Torrential Gearhulk》がキャストされると、通さざるを得ない。突きつけられたタイムクロックは4ターンだ。棚橋は4ターン以内にゲームに勝利するか、《奔流の機械巨人/Torrential Gearhulk》を対処するしかない。
2ターンの内に集められるだけのアドバンテージをかき集め、残ライフが9となった川上のエンドに仕掛けていく。先ずは《逆説的な結果/Paradoxical Outcome》をプレイするが、川上はX=2の《中略/Syncopate》。何の、本命はここから。
自身のターンに入り《鼓舞する彫像/Inspiring Statuary》、《否認/Negate》。
再度《鼓舞する彫像/Inspiring Statuary》、《不許可/Disallow》。
棚橋と言えど、これ以上対抗手段を持たなかった。
棚橋 0-1 川上
「凄くいいプレイヤーがいるんですよ。ほら、見てくださいよ、この写真。」
コミかる堂の代表から見せられた画像には《ウルザの後継、カーン/Karn, Scion of Urza》を手に、力強くポーズを決める川上 真太朗の姿があった。
川上 真太朗なんて知らない。そういう方が大半だと思う。県外の大会へ足繁く通うわけでもない。特に目立った戦績を残しているわけでもない。
ただコミかる堂のフライデーナイトマジックとPPTQには必ず参加し、時折突破者一覧に名を連ねる。地元を愛し、コミかる堂を愛し、仲間を愛し、マジックを愛するプレイヤーだ。
特徴的なのは、大会で見せる彼の笑顔だ。大会であろうとカジュアルドラフトであろうと、彼は心の底からマジックを楽しんでいるような満面の笑みを浮かべている。コミかる堂代表のSNS上には、彼の写真があふれている。
「オレが、川上 真太朗だ。一緒に楽しくマジックしようぜ!。」と言わんばかりに。
:ゲーム2
《改革派の地図/Renegade Map》で土地を確保すると《練達飛行機械職人、サイ/Sai, Master Thopterist》を召喚し、《羽ばたき飛行機械/Ornithopter》でトークンが生み出す。今度は棚橋がイニシアチブを握る。
川上がドローゴーで過ごす中、飛行機械トークンが静かにクロックを刻み続ける。
飛行機械トークンの2体目が生成されたエンドに、川上は《排斥/Cast Out》で《練達飛行機械職人、サイ/Sai, Master Thopterist》本体を対処。自身のターンに入ると《試練に臨むギデオン/Gideon of the Trials》をキャストするが、棚橋の《暗記+記憶/Commit+Memory》でカウンターされる。
6マナ目をセットすると再度《試練に臨むギデオン/Gideon of the Trials》。ここは通り、トークン1体が封じられる。
残り3マナ。棚橋はここが勝負所と《鼓舞する彫像/Inspiring Statuary》をプレイし、《不許可/Disallow》に《金属の叱責/Metallic Rebuke》を合わせる。そのまま即席で《逆説的な結果/Paradoxical Outcome》をプレイし、2ドローしつつトークンを3体とする。
狙っていたのは棚橋だけではない。川上は《浄化の輝き/Cleansing Nova》をキャストし、《練達飛行機械職人、サイ/Sai, Master Thopterist》以外のパーマネントを根こそぎに。《試練に臨むギデオン/Gideon of the Trials》は《練達飛行機械職人、サイ/Sai, Master Thopterist》を封じず、クリーチャー化で打点を刻む。
流れたのなら再構築すればいい。棚橋は《金属紡績工の組細工/Metalspinner's Puzzleknot》、《予言のプリズム/Prophetic Prism》でドローを進めつつトークンを生成。《試練に臨むギデオン/Gideon of the Trials》を潰すためアタックしつつ、自身へのダメージはトークンで受けながらドローに変換していく。
だが《光り物集めの鶴/Glint-Nest Crane》が《本質の散乱/Essence Scatter》されたあたりから、棚橋の動きが鈍くなる。手札の差もあるが、どうやら限定的なリアクションスペルばかりが集まってしまったようだ。《鼓舞する彫像/Inspiring Statuary》はカウンターされ、逆に《奔流の機械巨人/Torrential Gearhulk》は着地を許してしまう。
《試練に臨むギデオン/Gideon of the Trials》こそ打ち取るが、棚橋自身のライフも5。必死にチャンプからのドローを繋ぎ、《奔流の機械巨人/Torrential Gearhulk》へと遂に《暗記+記憶/Commit+Memory》をプレイする。
川上は迷わず《ジェイスの敗北/Jace's Defeat》をプレイし、棚橋は《否認/Negate》。重ねるように《否認/Negate》がプレイされると、チャンプブロックでやり過ごす。
棚橋の場に自身を守るクリーチャーは、いない。《ウルザの後継、カーン/Karn, Scion of Urza》を最後の砦としてキャストすると《否認/Negate》。これが通らないことにはゲーム自体が続行不可能となってしまうため《暗記+記憶/Commit+Memory》でカウンターを目論むが、川上は許可しない。《不許可/Disallow》を唱え、レスポンスを待つ。
棚橋が投了を宣言すると、ゲーム中の真剣な顔が嘘のように、川上ははじける笑顔に変わった。
棚橋 0-2 川上
川上 真太朗、『The Finals 2018』出場権獲得おめでとう!
:::【観戦記事】 第6回戦:松島 匡佑(カードショップONE☆PACK/Team.ムラシュー) vs. 真下 竜也(コミかる堂高崎店/チームあじさし)
By Yohei Tomizawa
2人の置かれている状況はシンプルだ。ただ、勝てばいい。
この対戦で勝つことができれば、続く7回戦をID(合意の上での引き分け)できるため、決勝トーナメントへの進出が決定する。目的は『The Finals 2018』の権利獲得であるが、一先ずは8人に残らなければならない。
「白黒ビートダウン」の松島が押し切るか、「グリクシスミッドレンジ」の真下がコントロールするか。
:ゲーム1
先手松島は《秘密の中庭/Concealed Courtyard》を重ねると《善意の騎士/Knight of Grace》。疑似プロテクションと思わせる能力は、真下の黒除去を無効化している。
真下は《泥濘の峡谷/Canyon Slough》《硫黄の滝/Sulfur Falls》で3色のマナベースを揃えると、追加された《善意の騎士/Knight of Grace》に対して《マグマのしぶき/Magma Spray》で即応。
淡々と2点クロックを刻む中、《ベナリア史/History of Benalia》でクロックサイズを4点に引き上げようと目論むが、真下の《中略/Syncopate》が許さない。最も警戒していた《ベナリア史/History of Benalia》を打ち消したことで、真下はタップアウトで《つむじ風の巨匠/Whirler Virtuoso》を送り出す。
この隙に4マナのカードに繋ぎたいところだが、松島がセットしたのは《進化する未開地/Evolving Wilds》。《喪心/Cast Down》で《つむじ風の巨匠/Whirler Virtuoso》を除去すると、レスポンスでトークンが生み出された。
都合4度目のアタックを《削剥/Abrade》でいなすと、松島がプレイしたのは《ウルザの後継、カーン/Karn, Scion of Urza》。真下の手にカウンターはなく、着地するとすぐさま土地が届けられた。
放置するわけにもいかず、アンタップするが早いか《ヴラスカの侮辱/Vraska’s Contempt》で対処すると、続く戦力は《賞罰の天使/Angel of Sanctions》。因みにリムーブしたのは《つむじ風の巨匠/Whirler Virtuoso》の忘れ形見。
マナカーブに沿った展開ができるように軽コストカードを多数採用しながらも、カードパワー負けしないように中コスト以上も積んでいる松島の「白黒ビートダウン」。しかしカードパワーという点では、真下の「グリクシスミッドレンジ」に軍配が上がるようだ。《悪意の騎士/Knight of Malice》に合わせるように召喚された《奔流の機械巨人/Torrential Gearhulk》は《賞罰の天使/Angel of Sanctions》を対処し、5点クロックを突きつける。
2枚目の《賞罰の天使/Angel of Sanctions》が《奔流の機械巨人/Torrential Gearhulk》をゲーム外へと追いやるが、《蓄霊稲妻/Harnessed Lightning》がプレイされると再び場へ戻り、松島のクリーチャーは一掃されてしまう。
それでも《イクサランの束縛/Ixalan's Binding》で今度こそ完全に対処すると、続くトップデッキは《ベナリア史/History of Benalia》。真下のデッキは1対1交換には優れるものの、複数交換できるカードは限られているため、このカードで松島有利になるかと思われた。
8枚並んだ土地をタップすると、真下の盤面に現れるのは《歩行バリスタ/Walking Ballista》。盤面を一掃すると、満を持しての《スカラベの神/The Scarab God》。
《賞罰の天使/Angel of Sanctions》で一旦はリムーブするものの、豊富な除去が採用されている真下のデッキに対処手段がないわけがない。
「コントロールは、嫌ですねぇ。」
松島は独り言ちると、カードをたたむ。
松島 0-1 真下
:ゲーム2
騎士ではなく《帆凧の掠め盗り/Kitesail Freebooter》により始まるゲーム2。
《木端+微塵/Cut+Ribbons》、《中略/Syncopate》、《天才の片鱗/Glimmer of Genius》、《つむじ風の巨匠/Whirler Virtuoso》
とバランスのいい手札から《蓄霊稲妻/Harnessed Lightning》をリムーブする。
真下は《ベナリア史/History of Benalia》のために《中略/Syncopate》を構えざるを得ず、インスタント除去を引かない限りダメージを受け続けることになる。
だが真下も伊達にここまで勝ち進んでいるわけではない。すぐに《マグマのしぶき/Magma Spray》で《帆凧の掠め盗り/Kitesail Freebooter》を除去すると、《蓄霊稲妻/Harnessed Lightning》と《中略/Syncopate》の2択を提示する。
松島のマナは4つ。《中略/Syncopate》を考えれば2マナ以下の呪文しか使えないが、クリーチャーでは《蓄霊稲妻/Harnessed Lightning》の的になってしまう。そこで《アルゲールの断血/Arguel's Blood Fast》がエンチャントし、カウンターを掻い潜りながら効果的なパーマネントを配置することに成功する。効率だけを考えれば真下の《天才の片鱗/Glimmer of Genius》に軍配が上がる。しかしロングゲームを見据えるならば恒久的なドロー手段である《アルゲールの断血/Arguel's Blood Fast》の方が優れているといえるだろう。
《悪意の騎士/Knight of Malice》と《蓄霊稲妻/Harnessed Lightning》を交換し、《ウィンドグレイスの騎士、アルイェール/Aryel, Knight of Windgrace》にスタックしての《天才の片鱗/Glimmer of Genius》。メインに入りタップインを処理しつつ《木端+微塵/Cut+Ribbons》で文字通り木端微塵にするが、ゲームコントロールに不可欠な除去が尽きてしまう。
《中略/Syncopate》を避ける6枚目の土地を置くと、松島は《黎明をもたらす者ライラ/Lyra Dawnbringer》を安全に着地させる。真下の手に伝説の天使を対処する手段はある。しかし《破滅の刻/Hour of Devastation》をより効果的に使用するために、《つむじ風の巨匠/Whirler Virtuoso》でターンを稼ぐことを選択する。
そこへ《帆凧の掠め盗り/Kitesail Freebooter》を召喚し唯一の解答である《破滅の刻/Hour of Devastation》を奪うと、アタックを開始する。チャンプブロックにより真下のライフは変動しないが、自身のライフは5点増えている。
松島にとってライフは、マナと同じく力だ。毎ターンマナを伸ばし、《黎明をもたらす者ライラ/Lyra Dawnbringer》で回復した分のライフをコストに新たなカードに変換する。ターンが経過すればするほど、有利になっていく。
増えた手札を盤面へと変換すべく、《暴君への敵対者、アジャニ/Ajani, Adversary of Tyrants》をプレイし、《悪意の騎士/Knight of Malice》をリアニメイト。このエンドに《削剥/Abrade》により真下の手に《破滅の刻/Hour of Devastation》が戻り、盤面を一掃するが、それは一時的な静寂に過ぎない。
2枚目の《暴君への敵対者、アジャニ/Ajani, Adversary of Tyrants》で再度《悪意の騎士/Knight of Malice》を戻すと、3枚目となる《つむじ風の巨匠/Whirler Virtuoso》と対面する。続くターンに《強迫/Duress》で《中略/Syncopate》を奪うと、残りは《破滅の龍、ニコル・ボーラス/Nicol Bolas, the Ravager》と《スカラベの神/The Scarab God》のみ。除去がないことを確認し《賞罰の天使/Angel of Sanctions》で《つむじ風の巨匠/Whirler Virtuoso》をリムーブ、《暴君への敵対者、アジャニ/Ajani, Adversary of Tyrants》でパンプアップしていく。
真下に選択肢はない。《破滅の龍、ニコル・ボーラス/Nicol Bolas, the Ravager》を召喚すると、松島が捨てたのは《排斥/Cast Out》。潤沢な手札から《イクサランの束縛/Ixalan's Binding》で対処し、クロックを刻みだす。
一度は《蓄霊稲妻/Harnessed Lightning》で《つむじ風の巨匠/Whirler Virtuoso》を取り戻すが、不朽を宣言されると頷くしかない。
《ウルザの後継、カーン/Karn, Scion of Urza》まで追加されると、対処するパーマネントが多すぎるため真下は投了を宣言した。
松島 1-1 真下
:ゲーム3
残り時間は10分弱。早期決着を目指し軽量除去と2枚の《光袖会の収集者/Glint-Sleeve Siphoner》、綺麗なマナベースの手札をキープすると、真下の《異臭の池/Fetid Pools》からスタート。
松島の場には《秘密の中庭/Concealed Courtyard》が1枚。《光袖会の収集者/Glint-Sleeve Siphoner》をプレイすると案の定《致命的な一押し/Fatal Push》。
何、もう1枚ある。再度《光袖会の収集者/Glint-Sleeve Siphoner》を召喚すると、松島も同じく《致命的な一押し/Fatal Push》をキャスト。
攻め手と同時にアドバンテージカードを失った真下は、ドローゴー。それに付き合うように松島もクリーチャーを召喚しない。
次のアクションは真下の5ターン目、セットランドすると《つむじ風の巨匠/Whirler Virtuoso》を召喚するが、《賞罰の天使/Angel of Sanctions》が狙い撃つ。真下はカードカウント的には不利になるのを承知で《マグマのしぶき/Magma Spray》2枚を使用し取り戻すと、全力でトークンを生成し、5点クロックを刻みだす。
2枚目の《賞罰の天使/Angel of Sanctions》には《木端+微塵/Cut+Ribbons》、《破滅の龍、ニコル・ボーラス/Nicol Bolas, the Ravager》と航空戦力を補充しつつ、波状攻撃をかける。松島の残りライフは7だ。
しかし《賞罰の天使/Angel of Sanctions》が普及されると足を止めざるを得ない。更に《黎明をもたらす者ライラ/Lyra Dawnbringer》までも追加されると、除去呪文はないために攻守逆転。絆魂によりライフを12と安全圏まで引き上げられ、ため込んでいたクリーチャーが解き放たれる。
この松島有利となったタイミングで時間切れとなり、真下から延長ターンに入る。真下は《破滅の刻/Hour of Devastation》で盤面を一掃し、《破滅の龍、ニコル・ボーラス/Nicol Bolas, the Ravager》を取り戻すが如何せんクロックが足りない。
松島も先のターンに全力を出し切り、余力はない。
結局、勝敗は
持ち越しの引き分けとなった。
松島 1-1-1 真下
:::【観戦記事】 第3回戦:神谷 拓郎(再楽リプラス太田店) vs. 押川 泰士(コミかる堂高崎店)
By Yohei Tomizawa
第3回戦ではスタンダードでは珍しい、コンボデッキ同士の対戦をお送りしたい。
神谷が使用するのは赤青のレジェンドが多様されているデッキだ。4が並んだ美しいデッキは、安定性と意外性の両方を兼ね備えている。クリーチャー主体のデッキであり、如何に除去呪文とカウンターを避けるかが焦点となりそうだ。
押川のデッキは流行の「青単《霊気貯蔵器/Aetherflux Reservoir》」。実際会場にも相当数がおり、デッキ自体のポテンシャルもそうだが、対戦相手から完全にデッキを把握(理解)されにくく、次の行動を読まれにくいことも利点となっている。
押川はデッキの可能性とメタゲームからこのデッキを選択し、アーティファクト対策である《力ずく/By Force》等へのアンチテーゼとして《発明の領事、パディーム/Padeem, Consul of Innovation》までも採用している。
スイスドローを抜けるには、もう、負けられない。2人の対戦を見ていこう。
:ゲーム1
《島/Island》から《改革派の地図/Renegade Map》がプレイされると、神谷は「ん~、貯蔵器(《霊気貯蔵器/Aetherflux Reservoir》)かぁ。」と押川のデッキをぴたりと当てる。
対して先手の神谷は《逃亡者、梅澤哲子/Tetsuko Umezawa, Fugitive》、《サヒーリ・ライ/Saheeli Rai》と淡々伝説パーマネントを並べていく。
《予言のプリズム/Prophetic Prism》から2枚目の《改革派の地図/Renegade Map》と押川はアーティファクトを増やし、それをコスト《金属の叱責/Metallic Rebuke》をキャストする。対象となったのは《野火の永遠衆/Wildfire Eternal》ときな臭いカード。
《逃亡者、梅澤哲子/Tetsuko Umezawa, Fugitive》と《サヒーリ・ライ/Saheeli Rai》のクロックが刻まれる中、キーカードである《鼓舞する彫像/Inspiring Statuary》がプレイされると続くターンには1マナで《練達飛行機械職人、サイ/Sai, Master Thopterist》がキャストされ、《金属紡績工の組細工/Metalspinner's Puzzleknot》がすぐにトークンを生成した。
盤面が出来上がりつつある押川に対し、神谷はカウンターがないことを祈りながら《野火の永遠衆/Wildfire Eternal》プレイ。恐る恐る押川に伺いを立てると…通った!!
神谷はすぐさま《サヒーリ・ライ/Saheeli Rai》の能力を使い《野火の永遠衆/Wildfire Eternal》をコピーし、アタック。《逃亡者、梅澤哲子/Tetsuko Umezawa, Fugitive》がいるためブロックをすり抜け、ここでプレイするのは《運命のきずな/Nexus of Fate》!
神谷のデッキは《野火の永遠衆/Wildfire Eternal》を起点に《運命のきずな/Nexus of Fate》等の追加ターンを得るカードを連打し、「ずっと、オレのターン!!」を現実世界で実行するもの。
エクストラターンに再度《サヒーリ・ライ/Saheeli Rai》でコピーが生み出し、今度は《運命のきずな/Nexus of Fate》と《溢れ出る洞察/Overflowing Insight》の2枚をキャスト。追加ターンを得て、新鮮な7枚のカードを引くと《前兆語り/Omenspeaker》で更にトップを操作する。
3度目のエクストラターンに《カーンの経時隔離/Karn's Temporal Sundering》がプレイされると、自身のターンが来ないことを理解した押川はサイドボードへと手を伸ばした。
神谷 1-0 押川
:ゲーム2
《改革派の地図/Renegade Map》、《羽ばたき飛行機械/Ornithopter》と親和的動きでアーティファクトを増やし、《逃亡者、梅澤哲子/Tetsuko Umezawa, Fugitive》を《金属の叱責/Metallic Rebuke》でカウンター。
返す3ターン目に《練達飛行機械職人、サイ/Sai, Master Thopterist》召喚から《モックス・アンバー/Mox Amber》をプレイし、トークン1体を生成。神谷は《サヒーリ・ライ/Saheeli Rai》でドローの質を高める。
2点クロックで《サヒーリ・ライ/Saheeli Rai》の忠誠値を減らし、《野火の永遠衆/Wildfire Eternal》には《暗記+記憶/Commit+Memory》。
再度2点で忠誠値は1に。《サヒーリ・ライ/Saheeli Rai》を守るため《練達飛行機械職人、サイ/Sai, Master Thopterist》を対処可能な《反逆の先導者、チャンドラ/Chandra, Torch of Defiance》をキャストするが、押川も2枚目となる《暗記+記憶/Commit+Memory》でターンを稼ぐ。
続くアタックで《サヒーリ・ライ/Saheeli Rai》が落ち、《反逆の先導者、チャンドラ/Chandra, Torch of Defiance》には《金属の叱責/Metallic Rebuke》と動きは完全にクロックパーミッション。手札には《否認/Negate》と《天才の片鱗/Glimmer of Genius》、《逆説的な結果/Paradoxical Outcome》といったカウンターとドローが控えており、神谷がドローゴーで終えた瞬間に《天才の片鱗/Glimmer of Genius》で手札を補充する。
押川に特別なカードは必要ない。形成された2点のクロックを維持するだけでいい。
《溢れ出る洞察/Overflowing Insight》を《否認/Negate》するが、《川の叱責/River's Rebuke》は受け入れ再展開。トークン2体を生成し、神谷の動きを伺う。
《練達飛行機械職人、サイ/Sai, Master Thopterist》は《苦悩火/Banefire》で失うが、手札に2号機が控えている。飛行機械トークンが2点を与え、神谷の残りライフは9。このタイミングで《予言のプリズム/Prophetic Prism》をプレイしクロックを1ターン縮める3体とする。
神谷は飛行クリーチャーへの対処手段を引かない。代わりに《航空船を強襲する者、カーリ・ゼヴ/Kari Zev, Skyship Raider》を召喚し、《カーンの経時隔離/Karn's Temporal Sundering》で逆転を目論むが《金属の叱責/Metallic Rebuke》により隔離されるのは神谷自身だった。
神谷 1-1 押川
:ゲーム3
《前兆語り/Omenspeaker》、《サヒーリ・ライ/Saheeli Rai》の動きに思わず「あー、これ、最速パターンだ。」とこぼす押川。彼自身はダブルマリガンながら《ザルファーの虚空/Zhalfirin Void》でドローの質を高めつつ《予言のプリズム/Prophetic Prism》の中々の動きながら、手札に握るカウンターは《暗記+記憶/Commit+Memory》。
神谷の手札には《野火の永遠衆/Wildfire Eternal》。しかしアンタップ状態のマナから《金属の叱責/Metallic Rebuke》を考え、先ずは《反逆の先導者、チャンドラ/Chandra, Torch of Defiance》をプレイする。
これが着地すると《サヒーリ・ライ/Saheeli Rai》、《反逆の先導者、チャンドラ/Chandra, Torch of Defiance》、《前兆語り/Omenspeaker》で4点クロックを形成。コンボとは無縁のダメージレースがスタート。
続くターンの《野火の永遠衆/Wildfire Eternal》には《暗記+記憶/Commit+Memory》がプレイされるが、《サヒーリ・ライ/Saheeli Rai》、《反逆の先導者、チャンドラ/Chandra, Torch of Defiance》タッグが《暗記+記憶/Commit+Memory》を実質無効化しているため、有効牌を引き続ける展開に。
こうなると手札が重く、完全なカウンター呪文のない押川は厳しい。《鼓舞する彫像/Inspiring Statuary》、《羽ばたき飛行機械/Ornithopter》をキャストしアーティファクトのカウントを3まで増やし、《暗記+記憶/Commit+Memory》を構える。
《野火の永遠衆/Wildfire Eternal》は《暗記+記憶/Commit+Memory》するが、度重なるダメージにより押川のライフは8。《金属紡績工の組細工/Metalspinner's Puzzleknot》でドローを進めるが、手札には名前通り《逆説的な結果/Paradoxical Outcome》ばかり。
《反逆の先導者、チャンドラ/Chandra, Torch of Defiance》は忠誠値を吐き出し奥義を唱えると、《野火の永遠衆/Wildfire Eternal》を召喚しつつ5点。
《野火の永遠衆/Wildfire Eternal》を《サヒーリ・ライ/Saheeli Rai》でコピーすると、レッドゾーンへ送り出す。
ブロックすれば加虐でダメージを受け、スルーすれば呪文がプレイされる。
押川は右手を差し出し、投了の合図とした。
神谷 2-1 押川
:::【観戦記事】 第1回戦:重田 達矢(ワンナップ伊勢崎モール店) vs. 難波 直也(コミかる堂高崎店/Team.ムラシュー)
By Yohei Tomizawa
今年も年末に開催される大型イベント『The Finals 2018』。このイベントの特徴と言えば、スタンダードによって“構築”日本一を競うということだ。
リミテッドとの複合でもなく、レガシー等他の構築フォーマットも必要ない。ただ、ひたすらにスタンダードに精通してさえいればいいのだ。
『The Finals 2018』本戦への権利をかけ、第1回戦では重田と『グランプリ・千葉2018』でトップ8に入り、今群馬で最も勢いのある難波の対戦をお届けしよう。
:ゲーム1
先手難波は《山/Mountain》、《沼/Swamp》の手札を小考後、マリガン。その後は色マナに富んだ手札をキープする。
後手の重田が《山/Mountain》から《ボーマットの急使/Bomat Courier》で先陣を切るが、ここへ《航空船を強襲する者、カーリ・ゼヴ/Kari Zev, Skyship Raider》が着地すると、その手に除去はないのか足踏みしてしまう。
難波は2マナの除去を考えつつも、《ゴブリンの鎖回し/Goblin Chainwhirler》のcip効果でマリガン分を取り戻すことを選択し、《航空船を強襲する者、カーリ・ゼヴ/Kari Zev, Skyship Raider》がお供を連れて3点クロック。
対する重田は《アン一門の壊し屋/Ahn-Crop Crasher》でダメージレースを選択し、督励を使いつつ3点与える。
しかしやはりというかクリーチャー1体分の差が大きく、6点対3点と難波有利。追加されたのは《屑鉄場のたかり屋/Scrapheap Scrounger》。
《ボーマットの急使/Bomat Courier》と《アン一門の壊し屋/Ahn-Crop Crasher》2号機を追加し残り12まで減らしたものの、難波の場に《ゴブリンの鎖回し/Goblin Chainwhirler》が追加されると残り10点を削りきる鮮やかな5ターンキル!
重田 0-1 難波
:ゲーム2
重田、痛恨のトリプルマリガン!減りに減った4枚の手札をキープするとドローゴー。
お付き合いするように難波も土地を置くのみで、初めにパーマネントを着地させたのは重田の《来世への門/Gate to the Afterlife》。彼のデッキは「赤単アグロ」に《王神の贈り物/God-Pharaoh's Gift》をハイブリットしたもの。ここは《削剥/Abrade》で即応する。
互いに《ゴブリンの鎖回し/Goblin Chainwhirler》を召喚し、難波が《ピア・ナラー/Pia Nalaar》を追加すると重田は2枚目となる《来世への門/Gate to the Afterlife》。
難波の手札に《削剥/Abrade》はない。かといって長引けば《来世への門/Gate to the Afterlife》のバックアップで《王神の贈り物/God-Pharaoh's Gift》まで繋がりかねない。
意を決し、《無許可の分解/Unlicensed Disintegration》を《ゴブリンの鎖回し/Goblin Chainwhirler》へとキャストし、パンプアップ分も合わせ一挙に10点。
《削剥/Abrade》でクロックを減らすも、3枚の差が埋まらない。最後まで《ピア・ナラー/Pia Nalaar》と飛行機械トークンを対処することは叶わなかった。
重田 0-2 難波