:::【観戦記事】 第6回戦:松島 匡佑(カードショップONE☆PACK/Team.ムラシュー) vs. 真下 竜也(コミかる堂高崎店/チームあじさし)

By Yohei Tomizawa


 2人の置かれている状況はシンプルだ。ただ、勝てばいい。

 この対戦で勝つことができれば、続く7回戦をID(合意の上での引き分け)できるため、決勝トーナメントへの進出が決定する。目的は『The Finals 2018』の権利獲得であるが、一先ずは8人に残らなければならない。

 「白黒ビートダウン」の松島が押し切るか、「グリクシスミッドレンジ」の真下がコントロールするか。


:ゲーム1

 先手松島《秘密の中庭/Concealed Courtyard》を重ねると《善意の騎士/Knight of Grace》。疑似プロテクションと思わせる能力は、真下の黒除去を無効化している。

 真下《泥濘の峡谷/Canyon Slough》《硫黄の滝/Sulfur Falls》で3色のマナベースを揃えると、追加された《善意の騎士/Knight of Grace》に対して《マグマのしぶき/Magma Spray》で即応。

 淡々と2点クロックを刻む中、《ベナリア史/History of Benalia》でクロックサイズを4点に引き上げようと目論むが、真下《中略/Syncopate》が許さない。最も警戒していた《ベナリア史/History of Benalia》を打ち消したことで、真下はタップアウトで《つむじ風の巨匠/Whirler Virtuoso》を送り出す。

 この隙に4マナのカードに繋ぎたいところだが、松島がセットしたのは《進化する未開地/Evolving Wilds》《喪心/Cast Down》《つむじ風の巨匠/Whirler Virtuoso》を除去すると、レスポンスでトークンが生み出された。

 都合4度目のアタックを《削剥/Abrade》でいなすと、松島がプレイしたのは《ウルザの後継、カーン/Karn, Scion of Urza》真下の手にカウンターはなく、着地するとすぐさま土地が届けられた。

 放置するわけにもいかず、アンタップするが早いか《ヴラスカの侮辱/Vraska’s Contemptで対処すると、続く戦力は《賞罰の天使/Angel of Sanctions》。因みにリムーブしたのは《つむじ風の巨匠/Whirler Virtuoso》の忘れ形見。

 マナカーブに沿った展開ができるように軽コストカードを多数採用しながらも、カードパワー負けしないように中コスト以上も積んでいる松島の「白黒ビートダウン」。しかしカードパワーという点では、真下の「グリクシスミッドレンジ」に軍配が上がるようだ。《悪意の騎士/Knight of Malice》に合わせるように召喚された《奔流の機械巨人/Torrential Gearhulk》《賞罰の天使/Angel of Sanctions》を対処し、5点クロックを突きつける。

 2枚目の《賞罰の天使/Angel of Sanctions》《奔流の機械巨人/Torrential Gearhulk》をゲーム外へと追いやるが、《蓄霊稲妻/Harnessed Lightning》がプレイされると再び場へ戻り、松島のクリーチャーは一掃されてしまう。

 それでも《イクサランの束縛/Ixalan's Binding》で今度こそ完全に対処すると、続くトップデッキは《ベナリア史/History of Benalia》真下のデッキは1対1交換には優れるものの、複数交換できるカードは限られているため、このカードで松島有利になるかと思われた。

 8枚並んだ土地をタップすると、真下の盤面に現れるのは《歩行バリスタ/Walking Ballista》。盤面を一掃すると、満を持してのスカラベの神/The Scarab God》

 《賞罰の天使/Angel of Sanctions》で一旦はリムーブするものの、豊富な除去が採用されている真下のデッキに対処手段がないわけがない。

 「コントロールは、嫌ですねぇ。

 松島は独り言ちると、カードをたたむ。

松島 0-1 真下


:ゲーム2

 騎士ではなく《帆凧の掠め盗り/Kitesail Freebooter》により始まるゲーム2

 《木端+微塵/Cut+Ribbons》《中略/Syncopate》《天才の片鱗/Glimmer of Genius》《つむじ風の巨匠/Whirler Virtuoso》

 とバランスのいい手札から《蓄霊稲妻/Harnessed Lightning》をリムーブする。

 真下《ベナリア史/History of Benalia》のために《中略/Syncopate》を構えざるを得ず、インスタント除去を引かない限りダメージを受け続けることになる。

 だが真下も伊達にここまで勝ち進んでいるわけではない。すぐに《マグマのしぶき/Magma Spray》《帆凧の掠め盗り/Kitesail Freebooter》を除去すると、《蓄霊稲妻/Harnessed Lightning》《中略/Syncopate》の2択を提示する。

 松島のマナは4つ。《中略/Syncopate》を考えれば2マナ以下の呪文しか使えないが、クリーチャーでは《蓄霊稲妻/Harnessed Lightning》の的になってしまう。そこで《アルゲールの断血/Arguel's Blood Fast》がエンチャントし、カウンターを掻い潜りながら効果的なパーマネントを配置することに成功する。効率だけを考えれば真下《天才の片鱗/Glimmer of Genius》に軍配が上がる。しかしロングゲームを見据えるならば恒久的なドロー手段である《アルゲールの断血/Arguel's Blood Fast》の方が優れているといえるだろう。

 《悪意の騎士/Knight of Malice》《蓄霊稲妻/Harnessed Lightning》を交換し、《ウィンドグレイスの騎士、アルイェール/Aryel, Knight of Windgrace》にスタックしての《天才の片鱗/Glimmer of Genius》。メインに入りタップインを処理しつつ《木端+微塵/Cut+Ribbons》で文字通り木端微塵にするが、ゲームコントロールに不可欠な除去が尽きてしまう。

 《中略/Syncopate》を避ける6枚目の土地を置くと、松島《黎明をもたらす者ライラ/Lyra Dawnbringer》を安全に着地させる。真下の手に伝説の天使を対処する手段はある。しかし《破滅の刻/Hour of Devastation》をより効果的に使用するために、《つむじ風の巨匠/Whirler Virtuoso》でターンを稼ぐことを選択する。

 そこへ《帆凧の掠め盗り/Kitesail Freebooter》を召喚し唯一の解答である《破滅の刻/Hour of Devastation》を奪うと、アタックを開始する。チャンプブロックにより真下のライフは変動しないが、自身のライフは5点増えている。

 松島にとってライフは、マナと同じく力だ。毎ターンマナを伸ばし、《黎明をもたらす者ライラ/Lyra Dawnbringer》で回復した分のライフをコストに新たなカードに変換する。ターンが経過すればするほど、有利になっていく。

 増えた手札を盤面へと変換すべく、《暴君への敵対者、アジャニ/Ajani, Adversary of Tyrants》をプレイし、《悪意の騎士/Knight of Malice》をリアニメイト。このエンドに《削剥/Abrade》により真下の手に《破滅の刻/Hour of Devastation》が戻り、盤面を一掃するが、それは一時的な静寂に過ぎない。

 2枚目の《暴君への敵対者、アジャニ/Ajani, Adversary of Tyrants》で再度《悪意の騎士/Knight of Malice》を戻すと、3枚目となる《つむじ風の巨匠/Whirler Virtuoso》と対面する。続くターンに《強迫/Duress》《中略/Syncopate》を奪うと、残りは《破滅の龍、ニコル・ボーラス/Nicol Bolas, the Ravager》スカラベの神/The Scarab God》のみ。除去がないことを確認し《賞罰の天使/Angel of Sanctions》《つむじ風の巨匠/Whirler Virtuoso》をリムーブ、《暴君への敵対者、アジャニ/Ajani, Adversary of Tyrants》でパンプアップしていく。

 真下に選択肢はない。《破滅の龍、ニコル・ボーラス/Nicol Bolas, the Ravager》を召喚すると、松島が捨てたのは《排斥/Cast Out》。潤沢な手札から《イクサランの束縛/Ixalan's Binding》で対処し、クロックを刻みだす。

 一度は《蓄霊稲妻/Harnessed Lightning》《つむじ風の巨匠/Whirler Virtuoso》を取り戻すが、不朽を宣言されると頷くしかない。

 《ウルザの後継、カーン/Karn, Scion of Urza》まで追加されると、対処するパーマネントが多すぎるため真下は投了を宣言した。

松島 1-1 真下


:ゲーム3

 残り時間は10分弱。早期決着を目指し軽量除去と2枚の《光袖会の収集者/Glint-Sleeve Siphoner》、綺麗なマナベースの手札をキープすると、真下《異臭の池/Fetid Pools》からスタート。

 松島の場には《秘密の中庭/Concealed Courtyard》が1枚。《光袖会の収集者/Glint-Sleeve Siphoner》をプレイすると案の定《致命的な一押し/Fatal Push》

 何、もう1枚ある。再度《光袖会の収集者/Glint-Sleeve Siphoner》を召喚すると、松島も同じく《致命的な一押し/Fatal Push》をキャスト。

 攻め手と同時にアドバンテージカードを失った真下は、ドローゴー。それに付き合うように松島もクリーチャーを召喚しない。

 次のアクションは真下の5ターン目、セットランドすると《つむじ風の巨匠/Whirler Virtuoso》を召喚するが、《賞罰の天使/Angel of Sanctions》が狙い撃つ。真下はカードカウント的には不利になるのを承知で《マグマのしぶき/Magma Spray》2枚を使用し取り戻すと、全力でトークンを生成し、5点クロックを刻みだす。

 2枚目の《賞罰の天使/Angel of Sanctions》には《木端+微塵/Cut+Ribbons》《破滅の龍、ニコル・ボーラス/Nicol Bolas, the Ravager》と航空戦力を補充しつつ、波状攻撃をかける。松島の残りライフは7だ。

 しかし《賞罰の天使/Angel of Sanctions》が普及されると足を止めざるを得ない。更に《黎明をもたらす者ライラ/Lyra Dawnbringer》までも追加されると、除去呪文はないために攻守逆転。絆魂によりライフを12と安全圏まで引き上げられ、ため込んでいたクリーチャーが解き放たれる。

 この松島有利となったタイミングで時間切れとなり、真下から延長ターンに入る。真下《破滅の刻/Hour of Devastation》で盤面を一掃し、《破滅の龍、ニコル・ボーラス/Nicol Bolas, the Ravager》を取り戻すが如何せんクロックが足りない。

 松島も先のターンに全力を出し切り、余力はない。

 結局、勝敗は

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持ち越しの引き分けとなった。

松島 1-1-1 真下